地域住民の心のケアを担う、街角クリニックに 1/3

けいクリニック:正村 謙二

風邪をひいたら、内科。腰や膝が痛いときは、整形外科。湿疹が出たら、皮膚科へ。毎日の暮らしの中で感じた不調に合わせて、私たちは病院に行き、診てもらう科を判断している。正村医師は、多くの人にとってあまり馴染みのない”精神科”の専門医。実は私たちにとても身近な、その治療について話を聞いた。

取材・執筆 / 榊原 すずみ

◆ 長引く咳の背景には心のストレスがあるかもしれない

精神科専門の「けいクリニック」院長、正村謙二医師には自身の診療所を

「街角の健康セーフティネットにしたい」

という志がある。神奈川県川崎市、尻手駅から歩いて1分とアクセス抜群な場所にあるからこそ、体にいつもと違うところがあれば気軽に健康相談に来てほしいという。

体調不良の原因と心の問題

日々の体調不良の原因が、心の問題にあることも多い

ずっと咳が続いているけれど、うつ病のような精神科・心療内科の病気ではないし……。
そんな風に思う人も多いだろう。ところが、長引く咳や慢性的な腰痛、介護疲れなどが、心にかかったストレスが原因で起こるケースも多いというのだ。一般内科を受診している方の45%は心療内科的問題を抱えているという研究結果もあり、咳や痛みなど具体的な症状がないケースもある。

朝起きるのが辛い、寝つきが悪くなった、いくら眠っても疲れが抜けないなどの不定愁訴なども正村医師の治療領域だ。

「更年期障害も、心療内科的アプローチをすることで症状が緩和することもあるんです」

どんな病気、どんな症状でも診るのが正村医師のモットーなのだ。

◆ まずはじっくり話を聞いて患者さんひとりひとりと向き合う

こうした心療内科的な問題が原因で起きている症状は、薬を飲んで改善できたとしても、根本的な心のケアも一緒に行う必要がある。心の健康をきちんと取り戻さないと、治ったと思ったころに症状が再発してしまうなんてことにもなりかねないからだ。

リラックスできる診察

患者によっては白衣を脱いでリラックスできる診察を心がける

心のケアが必要かどうかを見極めるのが、正村医師の仕事なのだ。そのために、必要なのが患者との対話。

「精神科・心療内科の治療は、まず聞くことです」

正村医師と向き合って、話を聞いてもらうだけで症状が軽くなる患者さんもいるという。だからこそ、話しやすい雰囲気づくりにも工夫をしている。

シンプルな作りで、明るい診察室は、患者さんの居心地の良さを考えてのこと。患者さんのタイプに合わせ白衣姿では威圧感を与えてしまうかもしれないと思えば、シャツにネクタイ姿で診察することもある。

「一人として、同じ症状、環境の患者さんはいません。だからこそひとりひとりに合った診察スタイルを見極める努力をしています」

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