かゆい所に手を伸ばせば、きっと勝算がある 1/3

東栄商事株式会社:武居 弘市

倉庫型、コンテナ型、ビルイン型。さまざまな形態でトランクルームは増え続け、業界はもはや飽和状態といってもいい。設立当時は珍しかった有人管理のトランクルーム「トーエイデポ」で時代の波を乗り越えてきた東栄商事の武居弘市氏は、競合溢れる今こそさらなる個性の追求をと、トランクルームの在り方を日々模索し続けている。

取材・執筆 / 吉川 ゆこ

◆ 電話帳をめくりながら考えた

青空をバックに温かみのあるベージュ色の建物が建っている。これがトランクルーム? 例えばだだっ広い土地に並ぶコンテナや、薄暗い倉庫内にうずたかく荷物が積まれている様子をイメージすると、あまりにかけ離れている。「トーエイデポ」の第一印象をひと言で表現するならば“明るいトランクルーム”だ。

国道17号線沿いに建つトーエイデポ

国道17号線沿いに建つトーエイデポ

そのトーエイデポを運営する東栄商事株式会社の代表取締役・武居弘市氏は、トーエイデポに負けず劣らず明るい。笑うと太目の眉と目じりがぐんと下がる。温かい笑顔である。 家業は建築業だ。東栄商事は昭和36年創業。50年の歴史があるが、途中宅建業など不動産管理に軸を移している。トーエイデポが建っている土地は建築用の資材置き場として利用していたが空地状態になっていた。

「ここで商売を始めたら」と父に持ちかけられた。
当時武居氏は石油会社のサラリーマンで全国各地を飛び回っていた。ガソリンスタンドの立ち上げに関わり、「仕事が楽しくて仕方なかった」が、父からの申し出に心が動いた。 この土地をいかすのに最高で最適な商売は何だろう。武居氏は電話帳を取り出し、そこに掲載されているすべての業種でかたっぱしからシミュレーションを繰り返した。

◆ 商人の子は、やはり商人

武居氏は大学在学中、バッティングセンターでアルバイトをした経験をいかし、バッティングセンターを経営していた経験がある。今でこそ大学生の起業は珍しくないが、武居氏はその走りだったと言ってもいい。「今思えば、あの頃が一番お金を持っていた。儲かったことも嬉しかったけれど、それ以上に自分で働くことが楽しかった」と武居氏は振り返る。

トランクルームについて熱く語る武居氏

トランクルームについて熱く語る武居氏

父と母は朝から晩まで働いている。その姿を見て育ち、自分もいずれ商売をと思っていた。社会勉強のつもりで入社した石油会社に12年勤めた。年齢も30代後半に差しかかり、

そろそろと思ったが肝心の土地をいかす方法が思いつかない。悩む武居氏に声を掛けてくれたのが、大手倉庫会社に勤める父の知人だった。

2 3 Next