街の眼科専門医として、精一杯のことを 1/3

ひぐち眼科:樋口 裕彦

人口10万人あたりの眼科医数は東京都が17.99人と圧倒的に多い。住みたい街ナンバーワンの東京・吉祥寺にも、駅周辺だけで10軒以上の眼科医院が存在する、まさに激戦区だ。この地で10年以上眼科クリニックを営む、樋口裕彦医師が目指してきたものは、“名医”よりも“良医”だった。

取材・執筆 / 片山 琢朗

◆ コンタクトレンズ装用による合併症で年間100人の視力が失われている

樋口医師が院長を務めるひぐち眼科は、1999年の開業以来、コンタクトレンズ診療、ドライアイ診療、緑内障診療に力を入れている。特に、コンタクトレンズ診療を目的に来院する患者さんの数は全体の約15%以上と高い。

患者さんの症状を語る樋口医師

コンタクトレンズ装用による合併症を抱える人は多い

現在コンタクトレンズの装用者数は、全国で1500万~1800万人で、10人に1人が何らかのトラブルを抱えているといわれている。さらに、コンタクトレンズ装用による合併症で、年間100人の視力が失われている現実はあまり知られていない。同医師がコンタクトレンズ診療に注力する理由がここにある。

「たかがコンタクトレンズと思われるかもしれませんが、されどコンタクトレンズなんです」

開業時にコンタクトレンズと深く関わったことが、コンタクトレンズ診療に力を入れるキッカケとなった。そして自分の腕をさらに磨くために選択した道は、同診療で名高い医師に教えを請うことだった。

「知識を深める事ができるところであれば、どこにでも行って教えを請う。それが患者さんのためになれば」

◆ 日々の鍛錬が眼科専門医としての自信を生む

円錐角膜(黒目の中心やや下方が円錐状に突出する病気)に重要とされる、コンタクトレンズ処方で有名な先生のもとで10年以上研修を重ねた樋口医師。忙しい診療のさなか、今でも1~2ヵ月に1回程度ではあるが、研修に通い続けている。

コンタクトレンズに関する研究や著書

数多くのコンタクトレンズに関する研究や著書

今では、大きさや形状、さまざまな加工を施したトライアルレンズを取りそろえ、患者さんに適切なコンタクトレンズを処方できる体制を整えている。

「コンタクトレンズで困っている方はたくさんいます。それを何とかしてあげるのが私の役目です」

患者さんの訴えの中にある診断のヒントを聞き出す努力は欠かさない。

「当たり前のことですが」

と何度も前置きし、問診を第一と考え、患者さんとの会話を重ねることで情報を得る診療方針を強調した。そして、見落としのない診察、患者さんに理解しやすい丁寧な説明を心がけているという。

「当院で見つからなかった症状の原因が、ほかの眼科で見つかることなど、絶対にないようにと心がけています」

2 3 Next