正々堂々と勝負すれば、結果はついてくる 1/3

株式会社アクアパートナー:小森 博康

大手企業だから信頼される、仕事が丁寧、安価なのか。大手企業で働いたからこそ疑問がある。業界の常識にとらわれない柔軟さで大手至上主義に挑む経営者の秘策とは?資材に囲まれた事務所で株式会社アクアパートナーの小森博康氏に話を伺った。

取材・執筆 / 吉川 ゆこ

◆ 自分は裏方。お客さまと同じ目線でいたい

はにかんだような笑顔で迎えてくれた小森氏は、「初めての取材」だそうだ。水道工事を請負う大手企業を退職後、同業で独立して2年後に法人化。丸4年が過ぎた。「安定と言えるほどではないですよ」と謙遜する小森氏だが、順調なスタートと見ていいだろう。

水道管などの交換部品

事務所には水道管など交換部品があふれていた

取材経験があってもおかしくはないはずと尋ねてみると、「お話はありましたよ。でも会社の紹介は別として、自分が表に出る取材はお断りしてきたんです」と意外な答えが返ってきた。「お客さまは正確に作業してくれるなら誰でもいいんです。それに自分は裏方だから目立つ必要はないと思っています」。

取引先は別として、現場でお客さまにお渡しする名刺には会社名と名前はあるものの、「社長」という肩書きは記されていない。社長と聞くと身構えてしまうお客さまがいるため、現場では常に一社員として振る舞っている。お客さまと同じ目線に立てる程よい距離感を大切にしたいと語る小森氏は信念の人だ。

◆ 経験から確信が生まれた

その信念は未経験で飛び込んだ水道工事業界でのハードな経験で培われたものだ。経理事務所を辞め、異業種にチャレンジしたのは生活のためだ。手に職をつければ今以上の収入が得られ、家族を十分に養うことができる。若かった小森氏は家族のためにと必死だった。

住宅街の拠点

住宅街の中に拠点を構え、地域にも密着している

作業中は誰とも話さなくていいはず。人見知りを自認する小森氏にはそんな打算もあった。しかし作業員の一番重要な仕事は接客だ。営業交渉もする。人として信頼されなければ仕事につながらないと痛感し、夢中で仕事を覚え、気付けば関東圏でも大きな支社の支社長にまで上りつめていた。

小森氏が中間管理職として心を砕いたのは部下の幸せだ。お客さまは無論、部下にも幸せになってほしいと意見するもトップには届かない。もどかしさばかりが募り入社6年で独立を決意する。「大手企業」という肩書きだけでは仕事の良し悪しは測れない。大手企業で働いたからこその確信だ。

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